ちょっと今から仕事行ってきます

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【解説】グッド・ドクター第2話

録画して見ているので少しタイムラグがありますが、

第2話もとても面白かったです。

 

どちらかというと母親の菅原唯菜(山田杏奈)の話がメインな感じがして

少しコウノトリを見ている気分になりましたが、

山場は赤ちゃんの手術だったのは間違いないので、それは置いておきましょう。笑

 

今回はあらすじを書きながら解説を書いていきます。

 

・・・

女子高生の唯菜が学校で破水し、東郷記念病院へ救急搬送された。

赤ちゃんは低出生体重児で、壊死性腸炎が認められた。

小児外科のカンファレンスでは、術中死のリスクが高いという判断で、

病院のガイドラインに沿って手術はせず保存的に経過をみる方針となった。

しかし、湊(山﨑賢人)は唯菜にこのままだと赤ちゃんは死んでしまうが

高山先生(藤木直人)の手術なら助かると話してしまう。

湊は高山からきつく叱られ、夏美(上野樹里)からも

唯菜の病室やNICUへの出入りを禁止されてしまうのだった。

・・・

 

25週で生まれた唯菜の赤ちゃん。

壊死性腸炎とは、腸への血液の流れが障害され、それに感染が加わり

腸が壊死 (組織が死ぬ)してしまう病気です。

低出生体重児に起こる危険性が高い病気で、腸の免疫などが未熟であることが

原因の一つと考えられています。

 

広い範囲の腸が壊死したり腸に穿孔(穴が開く)した場合は手術が必要になりますが、

病状によっては腸の安静や点滴、抗菌薬などで保存的に経過をみる治療が一般的です。

(小児外科学会ホームページ参照)

 

今回は

「赤ちゃんの体力を考えるとオペは危険」

「病院のガイドラインでこのような場合は手術はしない」

ことから保存的な治療の方針となっていました。

 

病院によっていろんな規則はありますが、

患者さんの状態は千差万別なので、破ってしまうとここまで大事になる

ガイドラインなんてあるの??と思いますが、

東郷記念病院は私立ですし、そもそも白衣じゃない経営陣も多いみたいなので

規則にはうるさいのかもしれません。

 

・・・

唯菜は子供を助けたいという思いから手術をしてほしいと頼み込むが

手術するには未成年の唯菜ではなく成人した保護者の手術同意書へのサインが必要。

連絡を受けた唯菜の母、真紀(黒沢あすか)が病院へやってくるが、

唯菜の出産をよく思っていない真紀は同意書へのサインを拒否する。

 

そんな中、湊が赤ちゃんの腸が蠕動している(動いている)様子を発見。

腸管が温存できる可能性が見えてきた最中、容態が急変。

NICUで手術を行うことになったが、間宮(戸次重幸)は反対し、

手術室の看護師たちもオペ室以外での手術経験がないためできないと言う。

そこへ院長の司賀が入ってきて責任は自分でとるので手術を行うよう言うのだった。

 

・・・

壊死していたり血流が悪くなっていたりすると、腸は動かなくなってしまいます(蠕動停止)

エコーで腸の蠕動が見えたということは全部の腸を切らなくても良い可能性が出てきたということです。

 

急変したとき、すぐさま穿孔(腸に穴が開く)の可能性を言い当てたのはさすが湊です。

医学的に口の中から肛門までは体の外と同じ不潔な部分と定義しています。

穿孔することにより、腸内の細菌などが腹腔(きれいなところ)に漏れてしまい

重篤になってしまうため、この場合は緊急手術の適応と考えられます。

 

手術では壊死した腸を切る必要がありますが、

全部の小腸を切ってしまうと栄養の吸収が十分でなくなってしまいます。

 

どこからどこまでを切り、どれくらい残せるか、は非常に大事になってきます。

今回の場合、手術の時高山が

「トライツ靭帯の下方30センチ先からほぼ壊死!壊死部を切除する」

と言っていましたので、30センチの小腸を残すことができたのでしょう。

 

「ストマ造設に移る!」

ということは、切ったところはすぐに吻合せず、

一回ストマ(人工肛門)をつくり落ち着いてからもう一度手術をして

ストマにしたところを体内に戻してつなげる予定だと思います。

 

最後に湊がエコー画像から診断したbiloma(バイローマ)。

日本語では胆汁漏といい、胆汁がもれて塊のように溜まっている状態です。

(胆汁は肝臓でつくられ、胆のうに貯えられる消化液です)

手術操作で胆管が傷ついたのでしょうか?

湊の意見を聞き入れ、胆管を縫合してチューブを挿入しました。

高山と湊の距離が縮まった感動的瞬間でしたね。

 

これは余談ですが、

医者が緊急で夕方の微妙な時間(他のスタッフの日勤と夜勤の変わり目)に

緊急の検査や手術などの治療を入れようとすると、他のスタッフに嫌がられたり

反対される(「今日じゃなきゃダメなのか?」「やったことないのでできない」etc)

なぜか内輪からの攻撃に遭うことは病院あるあるですね。

必死で謝りながらオーダーしている先生を見ると、緊急になったのは

その先生のせいじゃないのにかわいそうだなと思うことはしばしばです。

もちろんそうでないところもあると思いますが。

 

今回はこの辺で。

次週も楽しみです!